男性歯科衛生士の現状とは?
- 歯科衛生士
増えつつある新しいキャリアの可能性
歯科衛生士と聞くと、多くの方が女性をイメージするのではないでしょうか。しかし近年、少しずつではありますが男性歯科衛生士が増加しています。超高齢社会の到来や予防歯科の重要性の高まりに伴い、歯科衛生士の活躍の場は広がり続けています。その中で、男性ならではの強みを活かしながら活躍する歯科衛生士も注目され始めています。
本記事では、男性歯科衛生士の現状や推移、給与相場、日本と海外の違い、そして今後期待される役割について詳しく解説します。
男性歯科衛生士はどれくらいいるのか?
厚生労働省の統計によると、日本の就業歯科衛生士数は2024年時点で約15万人です。近年は毎年増加傾向にあり、歯科衛生士不足の解消には至っていないものの、職業としての需要は非常に高い状況が続いています。
一方で男性歯科衛生士の割合は非常に少なく、全体の約0.1〜0.7%程度とされています。調査方法によって若干の差はありますが、日本全国でも数百人規模しか存在しない希少な職種といえます。
実は、かつての歯科衛生士法には「女子」という表現が使われていた時代があり、「歯科衛生士は女性の職業」というイメージが長年定着していました。その影響もあり、男性が進路として選択するケースは非常に少なかったのです。
しかし近年では法制度や社会認識も変化し、歯科衛生士養成校に在籍する男子学生は増加傾向にあります。2019年から2023年にかけて男子学生数は2倍以上に増えたという報告もあります。
男性歯科衛生士の推移
男性歯科衛生士の人数は依然として少数ですが、確実に増加しています。
- 2012年:約40人台
- 2016年:約70人台
- 2022年:約170人
- 現在も増加傾向
この背景には、
- ジェンダーにとらわれない職業選択
- 医療職としての安定性
- 国家資格の取得による将来性
- 訪問歯科や介護分野での需要増加
などがあります。
また、歯科衛生士不足が深刻化する中で、採用する歯科医院側も性別より能力や人柄を重視する傾向が強まっています。
男性歯科衛生士の給与相場
給与については、男性だから高い、女性だから低いという違いは基本的にありません。
歯科衛生士全体の給与水準としては、
- 新卒:月給24〜28万円程度
- 経験3〜5年:月給28〜35万円程度
- 認定資格取得者や主任クラス:月給35万円以上
が一般的な相場です。
年収では、
- 平均年収:約350〜500万円
- 都市部や自費診療中心医院:約500万円以上
も十分に可能です。
歯科衛生士は国家資格職であり、経験を積むことで給与アップが期待できます。また、
- 認定歯科衛生士
- ケアマネジャー
- 訪問歯科コーディネーター
- マネジメント職
などへキャリアアップすることで収入向上も可能です。
男性歯科衛生士に求められる役割
男性歯科衛生士の最大の特徴は、女性が多数を占める職場の中で新たな価値を提供できる点です。
1. 訪問歯科での活躍
高齢者施設や在宅診療では、
- 車椅子移乗
- 体位変換
- 介助業務
など体力を必要とする場面があります。
男性歯科衛生士はこうした業務で力を発揮しやすく、訪問歯科分野では特に期待されています。
2. 男性患者への対応
男性患者の中には、
- 男性スタッフの方が相談しやすい
- 異性に口腔内を見られることへ抵抗がある
という方もいます。
そのため男性歯科衛生士の存在は患者満足度向上にもつながります。
3. チームの多様性向上
医療業界全体でダイバーシティ推進が進む中、性別の異なるスタッフがいることで職場の視点が広がり、組織力向上につながると考えられています。
海外と日本の男性歯科衛生士の違い
日本では男性歯科衛生士は1%未満ですが、海外では状況が大きく異なります。
アメリカ
アメリカでは歯科衛生士全体のうち男性は約5〜7%程度とされています。日本と比較すると圧倒的に多く、男性歯科衛生士は珍しい存在ではありません。
アメリカでは歯科衛生士の平均年収が高く、専門職としての社会的地位も確立されています。平均年収は約9万ドル(約1,300万円前後)とされる地域もあります。
カナダ・オーストラリア
これらの国でも男性歯科衛生士は一定数存在し、予防歯科の専門職として高く評価されています。
日本との違い
海外では、
- 性別による職業イメージが少ない
- 歯科衛生士の独立性が高い
- 専門職としての認知度が高い
という特徴があります。
一方、日本ではまだ「女性の職業」という印象が残っているため、男性の参入が少ない状況です。
今後の男性歯科衛生士の将来性
今後、日本では高齢化の進展に伴い、
- 訪問歯科
- 周術期口腔機能管理
- 介護施設での口腔ケア
- 予防歯科
の需要がさらに増加すると予測されています。
その中で男性歯科衛生士は、
「少ないから不利」
ではなく、
「少ないからこそ必要とされる存在」
へ変わりつつあります。
実際に歯科医院や訪問歯科の現場では、「男性歯科衛生士を採用したい」という声も少しずつ増えています。性別ではなく専門性が評価される時代になりつつあるのです。
まとめ

男性歯科衛生士は日本ではまだ非常に少数派ですが、その人数は確実に増えています。給与水準は女性と変わらず、国家資格として安定したキャリアを築くことが可能です。
特に訪問歯科や高齢者医療の分野では男性ならではの強みを活かせる場面も多く、今後の需要拡大が期待されています。
歯科衛生士不足が続く現在、性別に関係なく活躍できる専門職として、男性歯科衛生士はこれからの歯科医療を支える重要な存在になっていくでしょう。

